リミッター外れた才気と覚悟

クリープハイプ『エロ/二十九、三十』
2014年07月23日発売
SINGLE
クリープハイプ エロ/二十九、三十
鋭利なビートとギター・フレーズが爽快に理性を切り刻んだところに畳み掛けられる、メタファーだとか何だとかいう次元を綺麗に飛び越えた歌詞世界が、触れる者すべてを嬉し恥ずかしい高揚の境地へと叩き込む“エロ”。眩しいくらいのサビのメロディに重ね合わせて歌い上げる《あーなんかもう恥ずかしい位いける気がしてる/ずっと誰にも言わなかったけど/今なら言える》というフレーズが、最高の形で30歳という節目を迎えようとしている尾崎世界観の「今」への福音のように美しく響く珠玉のバラード“二十九、三十”。前作『寝癖』から2ヶ月半、自身初の両A面となるニューシングルにおけるクリープハイプの、神々しいくらいの覚悟の決まりっぷりと才気全開放ぶりには、思わず戦慄にも似た感激が全身に走る。稀代のソングライターが、照れも衒いも偽悪も振り捨てて音楽と向き合った時に、その歌とバンド・サウンドにここまでの輝度と強度を宿らせることができる――という証明そのもののような1枚。無垢なる退廃とでも言うべき空気感が尾崎の熱唱とともに胸に迫るカップリング“東京日和”も秀逸。(高橋智樹)
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