昨年4月のオランダ国王即位式典ではオーケストラとの共演で記念レイヴ（!）も披露した、ダッチ・トランスの旗手にして世界最高峰のDJ／プロデューサー＝アーミン・ヴァン・ブーレンの、ファン選曲によるベスト・アルバム。95年の1stシングル“ブルー・フィアー”や昨年のヒット曲“フィール～愛しき未来～”をはじめ、ウィズイン・テンプテーションのシャロンをフィーチャーしたM2“イン・アンド・アウト・オブ・ラヴ”、アヴィーチーのリミックスによるM6“ドラウニング”など、ハード・エッジでアップリフティングなビートを凛としたメロディワークとエレクトロ・アレンジで高揚の異次元へと誘う、トランス・マジシャンとしての手腕と才気が、今作には高純度凝縮されている。生ストリングスとシンセでドラマチックな音風景を編み上げるM12“形而上のインテンス”。EDM寄りのマッシヴなサウンドに研ぎ澄まされたクリエイティヴィティを重ね合わせたM15“アローン”……シーン先駆者の鮮烈な凄味とその進化の足跡を、来年1月「エレクトロックス」での5年ぶり来日前に一気にダイジェストするには必須の1枚。(高橋智樹)