成長痛

山崎あおい『12センチ』
2015年01月07日発売
ALBUM
山崎あおい 12センチ
自分が経験してきたわけでもないのに、山崎あおいが楽曲の中で描くノスタルジックでキラキラとした青春は、誰もの心に懐かしさと痛みをもたらす。同世代の女の子たちに向けて、なんてターゲットをあえて設定せず、聴き手にとってそれが現在でも過去であっても同じ様な甘酸っぱさをリアルに感じさせることができるのが、彼女が手がけるポップの凄さだ。

地元の北海道から上京する前後の覚悟や別れを、少しの強がりも交えてパッケージした前作『アオイロ』から1年。通っている大学でも周りの友達が就職活動を始め、少しずつ大人になっていくけど、でも大人になりたくないという複雑な感情や、夢の途中でもがく様も曲にした今作。だから全体的にはちょっとイビツにも感じるけど、そのひたむきさが今の彼女の愛すべき魅力として聴こえてくる。“左手”や“Charade”など恋愛モチーフの曲では「君」との距離感がグッと縮まっていてドキドキしたりして。そして普段から人に自分の気持ちを伝えるのが苦手な彼女が大きな決意を歌う“伝える日”をラストに、12曲のセンチメンタルが精一杯、鳴り響く。(上野三樹)
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