このシングルは彼女にとって初めてのフィジカル・リリースとなる作品だ。歌詞の凄絶さは一聴すれば誰にでも理解出来ると思うのだが、こんなにも陽性でヘルシーな、パンキッシュなロックンロールにこんな歌詞が乗るのか、という部分にこそ、“貴方解剖純愛歌〜死ね〜”の真の凄さがある。
明らかに狂気を感じさせる音楽に狂気を感じさせる歌詞が乗せられている歌はサブカル・シーンにゴマンとあるが、あいみょんはそうではない。ヘルシーな純粋さと狂気とは、いつでも紙一重である。そのことを率直な音楽として描き出している点にこそ、この若きシンガーソングライターの優れた才能がギラリと光っているのだ。刹那の生々しい感触と温度/湿度が音から立ち上る“いいことしましょ”や、《二人は完璧なはずだった》と奥行きのあるメロディを練り上げる“強がりました”といった楽曲も素晴らしい。純粋さとは、危うく美しいものだと教えてくれる。(小池宏和)