迷いなき衝動が描く、神聖な風景

asobius『ultrarium』
2015年04月22日発売
ALBUM
asobius ultrarium
獰猛と呼んでもいいほどアグレッシヴなビート感と躍動感を備えたasobiusのサウンドスケープが、極限まで研ぎ澄まされたハイブリッドな透徹性だけでなく、神聖さすら感じさせる輝きを実現しているのはひとえに、彼らの音楽がエゴの具現化や刹那のハッピーを貪る享楽性とはハナから切り離されたものとして鳴っているからだろう。どこまでも衝動的な切実さで永遠を求め、鋭利かつ精緻に普遍を描き上げる――そんな彼ら独自の方法論が目映く結実した、珠玉の進化作だ。

英語詞版と日本語詞版を同時収録した前作『pray&grow』から約1年のスパンでリリースされる2ndフルアルバム。全感覚神経をダイアモンドの粒子で研磨するようなスリリングな覚醒感と清冽さを帯びて響く“universurf”、壮大な音像が聴く者の視界を塗り替えるTVCMオンエア曲“window”など、今作に収められた13曲はいずれも、聴く者ひとりひとりの孤独に寄り添い抱き留める包容力とスケール感を備えている。5人の音が、甲斐一斗の歌が、ロック・シーンど真ん中を射抜く日が来るに違いない、と予感させるには十分すぎる1枚。 (高橋智樹)
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