山口隆の顔が目の前に迫ってくるような、ヴォーカルを前面に出したミックスが、2人称をタイトルにした本作の主旨を伝えてくる。前作では鍵盤を加え4つ打ちを取り入れたりもしてサウンドの幅を広げていたが、今回は結成15周年で初回盤には幻の初作『キックの鬼』も入るからだろうか、初心忘れず本領発揮と言わんばかりに3人の豪快なバンドサウンドで押し通す。《パンクロック！》と連呼して始まる“時間をとめるラブソング”を幕開けに、ヒップホップとパンクの見事な融合ナンバー“自由なステップ”からグルーヴィーな“ケイサツ来るまで踊りまくれ”へと、一気に畳み込む。この曲には評論への反論が歌い込まれてるが、《俺は断固としてLove&Peace!!!》と歌うから平和裏に解決しようという歌だろう。また映画『新選組・オブ・ザ・デッド』主題歌の“生きて生きて”は腰の据わった演奏でドラマチックに歌を聴かせ、本作の句読点になっている。初回盤は2CD+DVDで延べ40曲越えが話題だが、何より照れも恐れもせず愛と平和と自由を叫ぶ本作の圧倒的な熱量があってのものだ。（今井智子）