半年間の英国留学を経て、ベストアルバムを引っ提げた1年半ぶりの全国ツアーを行ない、この4月からライヴハウスツアー中のWEAVER。ステージへの飢餓感を一度満たしたところでの、ニューシングル。表題曲“くちづけDiamond”は、アップテンポな河邉徹(Ds)のドラムに、奥野翔太(B)のベースがメロディアスに絡み、杉本雄治(Piano&Vo)の鍵盤とストリングスが軽やかに舞う、爽やかに風を起こすような、疾走感のある曲。しかし、聞こえてくる歌は切ないバラードだ。ひとつの関係の終わりであり、はじまりでもある。天気雨のようにあいまいでも、少しの間だけその夢の余韻に似た時に浸かっていたい。そんな感覚をまとった歌。物語を喚起させるWEAVERらしい1曲で、洒落っ気のあるアンサンブルが心や体に寄り添ってくれる、洗練されたポップミュージックだ。その他3曲も、どこか肩の力が抜けて、グッと心揺さぶっていくいい曲、誰かの思い出のなかで鳴るようないい曲をただただまっすぐに追い求めている3人の呼吸が感じられる。今のいい空気感が音に乗った一枚だ。(吉羽さおり)