確信のみで紡ぐ現在地

米津玄師『アンビリーバーズ』
2015年09月02日発売
SINGLE
米津玄師 アンビリーバーズ
米津玄師の歌には嘘がない。それは彼が、確信できない言葉を使わないからだ。彼は「人と人とはわかり合えない」という思いを抱きながら、それでも他者と生きていきたいと願ってきた。だから、“サンタマリア”では、あなたと僕を《一枚の硝子》が隔てても《一緒にいこう》と歌った。しかし初のライヴを開催し、ツアーを回り、外の世界に触れるにつれ、多くの人に自分の思いが共有される場面を何度も目の当たりにすることになる。その結果、“Flowerwall”では、あなたと僕を隔てていた《一枚の硝子》が消え、ふたりは手を繋ぐことができたのだ。そんな彼が初めてフェスに出演した今夏、たどり着いた現在地が、“アンビリーバーズ”だ。彼は《僕らと行こうぜ》《全て受け止めて一緒に笑おうか》と、目の前にいるすべての人に手を差し伸べる。《今は信じない 果てのない悲しみを》という表現が米津らしい。まだ手放しで「幸せを信じる」とは言えないが、悲しみを否定することはできる。今の彼はここまで来た。いつかそれを心から信じられる時が来たらどんな言葉で歌うのか、楽しみでならない。(塚原彩弓)
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