アメリカ市場を狙ってか、時流を意識したサウンド・プロダクションが施され、今聴くとスネアの音などいかにも80年代的だが、リマスターのおかげか思ったほど気恥ずかしく感じたりはしなかった。初期からのプロデューサーだったディーター・ダークスの器用さもうかがわせる。今回の再発盤では、デモやライヴ音源などがたくさん追加されているので、そちらと聴き比べてみるのも面白いかもしれない。いずれにせよ、大衆性の高い楽曲を時代のサウンドに包んだことで、60年代から頑張ってきたジャーマン・バンドは見事に世界規模の存在となったのだ。
どれか1枚となると、やはりヒット曲“ハリケーン”をフィーチャーし、バンド史上最高のセールスを記録した『禁断の刺青』だろうか。仕様も、CD2枚+DVDと最もヴォリュームのあるサイズ。“カミング・ホーム”も好きな曲です。(鈴木喜之)