「メッセージとは無縁の、純粋にセックス&ロックンロールな曲もたくさんできた。
基本的には楽しく作りたかったんだよ。『ライブでやったら最高だろうな』と思いながらね。
とにかく説教師になるのも嫌だったし大仰なメッセージばかりっていうのも御免だったんだ」
あまりにも気が早いと言われそうだが、スコーピオンズの新作『ロック・ビリーヴァー』は、今年のベスト5に名を連ねることになるのではないかと思えるほどに強烈な傑作だ。
一度は引退を宣言していた彼らだが、幕引きの機会となるはずだったツアーでの感触の良さに、それを撤回。ベテラン・バンドのこうした話はめずらしいものではないし、それをあまり好意的に受け止めたがらない人たちも確実にいることだろう。ただ、モーターヘッドの最期を見届けたドラマー、ミッキー・ディーを新たなエンジンに据えている現在の彼らには、それこそ“健在”という言葉では足りないくらいの若々しい精気が感じられる。
実際、19枚目にあたるこの新作には、彼らをワールドワイドな存在へと押し上げた『蠍魔宮~ブラックアウト』や『禁断の刺青~ラヴ・アット・ファースト・スティング』といった80年代作品に勝るとも劣らない切れ味のいいキラー・チューンばかりが詰め込まれているうえに、デビュー50周年を迎えた現在ならではの歴史総括的な匂いも感じられる。
そんな濃密にして小気味良い作品が生まれ得た背景を探るべく、バンドのフロントマンであるクラウス・マイネ(Vo)に話を聞いた。(増田勇一)
スコーピオンズの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』3月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。