グラミー受賞のデビュー・アルバム『イズ・ゼア・エニバディ・アウト・ゼア？』すら遥か彼方に置き去りにするレヴェルの音楽的躍進を遂げた、ア・グレイト・ビッグ・ワールドの約2年ぶりとなる2ndアルバム。冒頭の“オール・アイ・ウォント・イズ・ラヴ”のパワフルなコーラスワークから高純度の多幸感そのものの“オアシス”、美麗ブルース・ワルツ“エンド・オブ・ザ・ワールド”、メロディアスなR&B“ホールド・イーチ・アザー”に至るまで、どこを切っても目映くマッシヴな旋律があふれ出す今作。そのソングライティング面での革新もさることながら、ビート感から楽曲の訴求力に至るまで、ハナからスタジアム級の風景の中で鳴らすことしか思い描いていないような広がりに満ちているし、チャド＆イアンの2人がピアノ＋ヴォーカルという最小限のメンバー構成である自分たちの在り方すら武器に変えて「本当に必要なもの」だけを無限増幅した（＆それ以外を徹底的に排除した）結果、「NY発のピアノ・ポップ・デュオ」という語感では到底表現しきれない、ユニット名そのままの悠久のスケール感を獲得してしまった、究極の進化作。（高橋智樹）