ガラスの破片が長い間波に洗われて丸みを帯び、元の色合いを残しながら別の輝きを持つようになったものをシーグラスと言う。浜辺で拾ったシーグラスのように美しい言葉を選び、光に透かして夏の1日を浮かび上がらせる。情景が感情と重なり暖かく切ない思いに包んでくるこの曲は、最近のシングルで進むことを歌ってきたストレイテナーのひとつの答えのように思える。私たちは5年前から、海や海岸に対してそれまでと違うイメージを持つようになったのではないか。海岸に佇んだふたりがシーグラスを通して見るのは、長い時間そのガラスの欠片が見てきた景色のように思える。

毅然としたホリエアツシの歌から始まる“シーグラス”は、バンドとひとつになって鼓動を上げていく。楽器を次々に重ねていくアンサンブルは、様々な思いが重なっていく気持ちのようで、サビに向かう高揚感が痛快だ。新たな一歩を進める決意をした瞬間のように清々しい。この曲と組むのは11年前シングルのカップリングだった“DISCOGRAPHY”のディスコミックス。歌とサウンドのバランスが見事な2曲だ。（今井智子）