ヴォーカルのシャーリーが言っていた〈もっともファーストに近いアルバム〉って言葉に完全に同意。たしかに懐かしい感触がそこかしこにみなぎる音だけれど、安直な既視感とは違い、いま鳴らすべき音としての必然性があるからとても新鮮な気分で聴けるし、曲の持つ光景が次々と浮かび上がり迫ってくる。
4年前の『ノット・ユア・カインド・オブ・ピープル』以来、通算6枚目のオリジナル・アルバムとなる。活動停止など、いろいろあり決してコンスタントなリリース状況ではないが、それでも一貫して高いクオリティのアルバムを出してきているのはやはりプロデューサーとして多くの実績を残すブッチ・ヴィグの存在が大きいし(今回のレコーディングも彼のスタジオで行なっている)、今作でもノイジーな激音からロマンチシズム溢れる“ナイト・ドライヴ・ロンリネス”のような曲まで、グループの持つポテンシャルを美しく構築していく。スタイルにこだわるのではなく、無駄な音が一つもない作りなので、当然のようにアルバムとしては極めて高い完成度を実現している。ちなみにぼくも彼らの作品で一番好きなのはファーストだ。(大鷹俊一)
出会いの鋭さ再燃
ガービッジ『ストレンジ・リトル・バーズ』
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