セイホーに取材した時、日々アップデートしていくカニエ・ウェストの新作の話になったら「僕らはSoundCloudなどでずっとそんな感じでやってきたから、新しいやり方だとは思わない」という意味のことを言われ、新世代の登場を感じた。もはや表現の手段に国境はないのだ。
大阪出身の彼にとって通算3作目であり、盟友マシューデイヴィッドのレーベル、リーヴィング・レコーズからの第1弾で、いわば世界進出となるアルバムだが、当然そんな気負いはまったくない。フライング・ロータスといった海外のビート・メイカーたちとも共演する官能的なエレクトロニカは、この若き俊英の時代が訪れつつあることを如実に示す、きわめて刺激的なものだ。
さまざまな音楽的要素が織り込まれた音楽性や、音色やフレーズのディテールというより、そこから立ち上ってくる人工美と自然美が入り混じったような世界観の方が重要。言ってみれば、音色やフレーズはある種の記号として使っているわけだが、そのミクスチュアのセンスがずば抜けていて、まさに才気煥発だ。色気と艶がある音はこのジャンルに馴染みのない人もお薦め。(小野島大)