ジャー・ウォブルというと、キース・レヴィンとのタッグで数年前にフジ来日も果たしたメタル・ボックス・イン・ダブでも明らかなように、初期PiLをはじめとするポスト・パンク/UKダブのキーマンという印象が強い。しかし彼のリーダー・バンドであるインヴェイダーズ・オブ・ザ・ハートは、インド音楽にアシッド・ジャズ、ブリティッシュ・フォークやケルト音楽と、無節操なぐらい広い表現レンジの中で作品群を残してきた。それはそのまま、ウォブルというミュージシャンの懐の深さを証明する記録でもあるだろう。そのバンド名義で久々にリリースされる新作は、メタル・ボックス・イン・ダブから続投のメンバーもクレジットされたフューチャー・ファンク/ジャズ。とりわけジャズ要素に関しては、あまりにもノリノリにやり切っていて驚かされる。ウォブルが「主役の座を奪いかねない」と皮肉めいたコメントを残しているサックス奏者=チェット・ドクサスの暴れん坊ぶりが凄いのだが、ベース音一発で「あの不穏さ」を喚起するウォブルの存在感も負けてはいない。ここまでやってもジャー・ウォブル、という現役感の一枚だ。(小池宏和)