看板になるサウンドを前3枚できっちり確立したバンドだけに、その個性が逆にマンネリと映る前に変化するタイミングのこの動きは歓迎だ。これまで音楽の一部に埋め込まれてきたヴォーカルを前面に押し出し、エモにシャウトするパワー・バラッド調の楽曲が増えたのは新鮮ではある――が、残念ながらレディー・ガガやアギレラのようなコクに欠けるシンガー:アレクシスの声質は、爆竹ビートとシンセ&ギター・リフの絶え間ない瀑布を前にすると必死な悲鳴のように響く。アルバムの中の飛び道具/アクセントとしてこういう曲を持って来るのはアリだと思うが、連打されると逆に聴く側は麻痺してしまう。現代版ウォール・オブ・サウンドという根本のコンセプトは買う。が、息をつく「間」も大事じゃないだろうか。(坂本麻里子)
マキシマム主義の限界
スレイ・ベルズ『ジェシカ・ラビット』
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ALBUM
看板になるサウンドを前3枚できっちり確立したバンドだけに、その個性が逆にマンネリと映る前に変化するタイミングのこの動きは歓迎だ。これまで音楽の一部に埋め込まれてきたヴォーカルを前面に押し出し、エモにシャウトするパワー・バラッド調の楽曲が増えたのは新鮮ではある――が、残念ながらレディー・ガガやアギレラのようなコクに欠けるシンガー:アレクシスの声質は、爆竹ビートとシンセ&ギター・リフの絶え間ない瀑布を前にすると必死な悲鳴のように響く。アルバムの中の飛び道具/アクセントとしてこういう曲を持って来るのはアリだと思うが、連打されると逆に聴く側は麻痺してしまう。現代版ウォール・オブ・サウンドという根本のコンセプトは買う。が、息をつく「間」も大事じゃないだろうか。(坂本麻里子)