粋なビートの乗りこなし方、ワクワクするライミングの連発によって、「ラップってかっこいい!」ということを噛み締めさせてくれるラッパーがSKY-HIだ。人生をカジノのカードゲームに喩えて描いている今作の表題曲“Double Down”も聴いているとテンションが上がる。自分のペースのままに勝負を進めるという宣言の言葉を放射し続ける曲だが、伝わってくるのはゆったりと構えた余裕ではなく、「勝ち上がるためには弱気になっている暇なんてない」という覚悟だ。「運命」や「環境」というような、現状を大人しく受け容れるために好都合な言葉に自分自身を託すのではなく、行動と意志の力で理想へと突き進もうとしている人間の姿を、多くのリスナーはこの曲に見出すのではないだろうか。先日、AAAのメンバーとして東京と大阪で行ったドーム公演を大成功させた前後で全国ライブハウスツアーを着々と行い続けていて、さらに逞しくなろうとしている彼らしさも強く感じる。カップリングの“Dungeon Survivors”も含め、SKY-HIというラッパーの凛々しさを示している1枚だ。(田中大)