昨年夏のホステス・クラブ・オールナイターに出演したアウスゲイル。その時点でほぼ完成していたという最新アルバムが本作である。14年の『イン・ザ・サイレンス』が本国アイスランドで発表されたオリジナル版のリメイクだったことを考えると、この真っ新な状態でリリースされる2ndこそが正真正銘のデビュー盤、という見方もできるのかもしれない。
フォークやアコースティック的要素とエレクトロニックなプロダクションとの融合。ボン・イヴェールやジェイムス・ブレイクとも比せられた音楽スタイルは、本作においてさらなる深化を見せている。一言でいえば後者の比重が増し、奥深い音響のレイヤーと複雑に脈打つビートが、温かみのある歌声やドラマチックなメロディとより有機的に織り成されている。例えば“アンバウンド”には、昨年発表したピクシーズ“ホエア・イズ・マイ・マインド”のカヴァーに通じるR&Bのフィーリングも感じられる。本人はテーム・インパラの『カレンツ』の影響もほのめかしていたが、従来のフォークトロニカ的なSSW像から大きな飛躍を遂げたことは確か。本作を引っ提げて行われるフジのステージが楽しみだ。(天井潤之介)
豊潤なるエレクトロニックな深み
アウスゲイル『アフターグロウ』
発売中
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