インターネット動画の“だから僕は不幸に縋っていました”に出会って、この仮面を被った、やたら完成度の高い4人組バンドは何者なんだ、とびっくりしたのだが、同曲はスマホゲーム『スターオーシャン：アナムネシス』の主題歌として大きな注目を集めた。今回のシングル『CQCQ』がデビュー盤となる、「神僕」こと神様、僕は気づいてしまった。さらに今作の表題曲は、4月よりオンエアされているTVドラマ『あなたのことはそれほど』の主題歌に起用されている。ビッグなタイアップを次々に掴み、謎のバンドのままどんどん話題性を膨らませているのである。鮮烈に突き抜けてゆく彼らのロックは、心の闇の中を遮二無二進んでゆくためのツールとして鳴り、歌われている。今回の“CQCQ”も、《明日は明日で上書きできると 今日を溝に捨てた今日でした／荒れ狂う逆風に 未来は吹き飛んだ》といったふうに、安っぽい救済や希望をあっさりと蹴散らしてしまうのである。ソングライターを務める東野へいと（G）の胸の内がますます気になるし、楽曲に触れるほどに知りたいことが増えるバンドだ。（小池宏和）