女の子たちは前進している

ハイム『サムシング・トゥ・テル・ユー』
発売中
ハイム サムシング・トゥ・テル・ユー
先月末にイギリスの音楽番組に出演したハイムを観た時は正直驚いた。Tシャツ+ホット・パンツというあの「やんちゃなカリフォルニア娘」ルックからボビー・ジェントリーを思わせるブラウス+革スラックス姿へという変化ももちろんだったが、そこで演奏された本作10曲目のエピックなロック、かっこよすぎて痺れた。

4年ぶりの本セカンドは、しかし蓋を開ければ「ロック全開」というわけではない。生来の魅力であるシンコペートするリズムやボーカルを活かした前作継承の踊れる曲もあるし、80年代フリートウッド・マック味も2曲目他に健在。こう書くと順当なフォロー作か……との印象を読者に与えるかもしれないが、どっこい! 本作はプリンスの「抜き」の美学、すなわちドラムやベースを引き絞ったミニマルな音作り(アリエル・レヒトシェイドと元ヴァンパイア・ウィークエンドのロスタムがプロデュース)を基盤に、広い音空間に宙吊りになっても主張できる=プレイヤー/シンガーとしての彼女たちの強さと欲、実験精神が前面に出ていてパワフルだ。ソングライティング面での脇の甘さはまだ残るものの、間違いなくハードルを上げた1枚。断固支持します。 (坂本麻里子)
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