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2021年8月結成、おなかと心を満たす「おいしいおんがく」を届ける4人組バンドchef’s。聴覚を通して味覚を感じさせるとはどういうことかと不思議に思う人もいるかもしれないが、音と言葉を通して味わい深い感覚を思い起こさせるこの最新曲を聴けば、その意味がありありと伝わるはず。イントロにおけるラララのコーラスはたおやかな響きを放っていて、《あたし》と《あなた》の関係性を綴った歌詞は、等身大で日常的。ただ、曲の冒頭のノイズ、性急なバンドサウンドの雪崩れ込みが、違和感を、さらに言えば、ふたりの不和の予感を提示している。しかしこの曲は、《暮らしの重心はあなたがいい。》という切実なパンチラインを経由しつつ、最後には《あなたじゃなきゃダメなあたしがいい》という揺るぎない結論へと向かってゆく。ふたりで生きてゆくことを巡る甘さ、ビターさが折り重なる重層的な味わいを堪能できる極上の一曲だ。エンジニアの小森雅仁が手掛けたミックスも素晴らしく、耳で聴いていてもとにかく「おいしい」。(松本侃士)(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年2月号より)
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