若き天才のさりげない傑作

MURA MASA 『MURA MASA 』

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MURA MASA  MURA MASA
ムラ・マサことアレックス・クロッサンは現在 21歳、本作は彼のフル・デビュー・アルバムとなる。ソングライター兼プロデューサー、 10代にしてそのふたつを当たり前のように両立させていた彼はディスクロージャーを彷彿とさせる若き才能だが、クラブ・ミュージックという立脚点がローレンス兄弟よりずっと希薄で、むしろどこにも軸足を置かない捉えどころの無い軽さが彼の強烈な個性だ。エイサップ・ロッキーとのコラボでカリプソを試した“ラヴシック”や、スティールパンの効果を巧みに使ったチャーリーXCXとのハウス・ポップ“ワン・ナイト”を筆頭に、中空で緩くたっぷりと余白を含みながら音を混ぜ合わせていく感覚が独自で、トロピカル・ハウスからトラップまで、ディスコからガラージ、ベース・ミュージックまで、新旧のエレクトロ・ミュージックのコラージュをまで金曜夜の渋谷スクランブル交差点を悠々と回遊するかのようなスムーズさで取り入れ、微かな余韻を残して通り過ぎていく。オートチューンを介してもなおポエティックなデーモン・アルバーンの声にボン・イヴェールを見出すラストの“ブルー”がハイライトだろう。(粉川しの)

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