ピアノは歌って踊れるすごい奴

WEAVER『A/W』
発売中
WEAVER A/W
ピアノはメロディや和音を響かせたりできる一方、ビートを放つことにも長けている。もちろんギターやバイオリンなどの弦楽器、トランペット、サキソフォンなどの管楽器もメロディとリズムの両方を担えるが、ピアノは音が発生する瞬間の打点が明確な分、ビートを主張しやすい。ジャズ畑を中心に「ピアノは打楽器だ!」と主張する奏者が多いのも、そこが理由なのだと思う。そして、ピアノロックバンドであるWEAVERにも、ピアノの二面性が表れている。今作もそういう1枚だ。エレクトロ的な音像とカッチリしたダンサブルなノリを届ける“Another World”、爽やかなピアノの音色を躍動させつつラテン的な情熱も帯びている“だから僕は僕を手放す”は、ビートに比重を置いたWEAVER。雪が降る町を舞台にしながら温かな愛情を歌い上げる“Photographs”、My Little Loverのカバー“Hello, Again 〜昔からある場所〜”はメロディ指向のWEAVER――という2色を楽しめる。ピアノ、ベース、ドラムから奥行きの深いドラマを生む彼らの独自性を、今作を聴けばしっかり噛み締められるはずだ。(田中大)
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