センチな夏の残り香と8ビート

ザ・クロマニヨンズ『ラッキー&ヘブン』

2017年10月11日発売

ザ・クロマニヨンズ ラッキー&ヘブン
季節はすっかり秋だが、夏の淡い思い出がよみがえるような作品だ。もちろんメインにあるのは先行シングル“どん底”を始めとするアッパーな曲で、アグレッシブな“流れ弾”やグルーヴィーに突っ走る“ハッセンハッピャク”あたりは甲本ヒロト(Vo)が本領発揮。一方、真島昌利(G)の曲は、夏休みが終わると転校していたクラスメートの歌“足のはやい無口な女子”は昭和歌謡めいたコーラスが切なく、まさに音頭な“盆踊り”は亡くなった祖父母を陽気に偲ぶ。ヒロトも“嗚呼! もう夏は!”でインディアンビートに乗せて夏休みの思い出を、“ユウマヅメ”で夕釣りの極意をほっこりと歌う。遊び心を織り込み変化に富んだ曲が直球なロックを際立たせている。ヒロトは当初ゴリゴリに押していく8ビートが少ないような気がしてシングルのカップリング“ぼー”と入れ替えようとしたが、どうでもよくなった、と言っていた。クロマニヨンズに限った話でもないが、ライブで演奏していくうちに曲はどんどんタフになり、8ビートかどうかより強い力で圧倒する。この12曲も、間違いなくそうなっていくだろう。(今井智子)

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