ゾクゾクする、この感覚

エミネム『ウォーク・オン・ウォーターfeat.ビヨンセ』

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エミネム ウォーク・オン・ウォーターfeat.ビヨンセ
リリース間近の新作『リヴァイヴァル』からのリード曲。

ピアノとストリングスのみをバックに、「ラップの神」と言われ、不可能を可能にする(Walk on Water)と持てはやされる自分もただの人間なんだ、と歌われる。高すぎる世間からの期待に応えようとしてもうまくいかない。オレだって人間だ、ミスもする。『ザ・マーシャル・マザーズLP』が売れすぎて、その後は落ち目だと見られてしまう。皆を失望させるのが怖い。凍れば水の上も歩けるけど、そうでないなら溺れるだけ、とのしかかるプレッシャーの大きさに押しつぶされそうな自分を、驚くほど率直に語っている。諦めずに戦い続けるか、リタイアするか今回で決める、とまで歌うのである。

だが最後の3行でスクラッチ・ノイズをバックにエミネムは歌う。《オレはただの男だ。でもマイクを持てば違う、オレは“スタン”を書いた人間だ、ほかの奴らとは違うんだ》と言い放つ。アルバムではこの後、いつものエミネムらしい強気のトラックが続くのだろう。

こうした葛藤を経て、エミネムは戦いに戻っていく。アルバムへの期待を高める傑作だ。(小野島大)

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