豊かに広がる「体感」の喜び

Ivy to Fraudulent Game『回転する』

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Ivy to Fraudulent Game 回転する
Ivy to Fraudulent Gameの音楽を聴いてまず印象に残るのは、空間を構築することに長けているという点だ。様々な楽器のフレーズのほか、譜面では表しようもない「気配」とも言うべき抽象的な響きも重ねながら各曲を組み立てている。たとえば今作に収録されている“最低”を聴けば、誰もがそういう作風を噛み締められると思う。シューゲイザー的なサウンドの壁を妖艶に揺らめかせ、ラジオのチューニングをする時に発生するような音も添加して生み出している空間はドリーミーでサイケデリック。しかし、自己嫌悪が激しく滲む歌はドキリとさせられるほど生々しい。このように非現実感と現実感を大胆に融合させる手法は、ライブの定番となっていて、今回、新録されている“dulcet”などでも堪能できる。瞬時に興奮できる直球の熱量を放つと同時に、じっくりと浸りたくなるムードも醸し出せる彼らの音楽は、ライブの現場で盛り上がるだけではなく、ヘッドフォンをしながら孤独に楽しみたくもなる。スタジオワークでもスリリングな進化を遂げてくれそうなこのバンドの今後の動きが、とても楽しみだ。(田中大)

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