映画とシンクロした実直なラブソング
黒猫チェルシー『ベイビーユー』
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2月にリリースした約4年半ぶりのフルアルバムを経て届いた新作シングル。最近は役者としてだけに留まらず、映画監督デビューも果たしている渡辺大知(Vo)。この楽曲は自身がメインキャストとして出演している、この冬公開の映画『勝手にふるえてろ』の主題歌として書き下ろしたもの。原作は綿矢りさによる同名小説で、リアルな恋愛経験ゼロのオタク系こじらせ女子(趣味の対象は絶滅した動物!)が、片思いの相手と、告白してきた同僚との間で激しく揺れ動く、爆走系ラブコメである。渡辺が演じているのはヒロインに恋する同僚のほうで、嘘のつけない体育会系ノリの好青年なのだが、その実直な部分はどこか渡辺本人の姿とダブって見える。楽曲はというと、すっきりと風通しが良く飾り気のない、抜け感のあるラブソング。メロディの純粋さが耳に残る、素直にかっこいいと思える仕上がりで、映画の空気感といい感じにシンクロしている。若手バンドと呼ばれることが多かった黒猫チェルシーだが、まもなく結成10年というキャリアを重ねる。これを聴くと、俄然これから先の彼らに興味が湧いてくるはず。(峰典子)