いやいや、つい数ヶ月前にメジャー初のフルアルバムを出したばっかりじゃん、と青天の霹靂だった、カリスマの無期限活動休止＆DJゴンチの引退発表。家業を継ぐためやむなし、というところではあるのだが、MCいつかの切れ味鋭い毒舌哀愁ラップだけではなく、鋭角に響き渡るパーティ性の高いサウンド、そして何よりもふたりの旧友同士の関係性が織り成すDIYな女子ヴァイブこそカリスマの最たる魅力だったわけで、正直に言えば寂しい限りだ。年明け1月に大阪と東京で開催されるワンマンライブと、このベスト盤が現時点での活動の節目になるのだが、インディーズ時代の音源も見渡すオールタイムな選曲になっているのは嬉しい。無能な上司や理不尽なお局をこきおろす一方で、同世代女子を擁護するというよりも鋭い視点で愛ある挑発を繰り返し、無理目なルーティンに向かう自分自身を奮い立たせてきた姿勢が最高だ。意識高い系なんかじゃない、地べたを這って生きる生活者として、彼女たちは多くの人々から共感を勝ち取ってきたのだ。真にタフでかっこいい生き様が刻みつけられたバイブル。（小池宏和）