『PARADISE BLUE』デビュー20周年イヤーの幕開けを軽やかに祝いまくる歌ものトロピカル・スカ“Routine Melodies ルーティーン・メロディーズ”のむせ返るほどの高揚感! “ツァラトゥストラはかく語りき”と“大江戸捜査網のテーマ”を同時再生したような、“Paradise Blue パラダイス・ブルー”の堂々たるファンファーレ! スーパーマリオのテーマがハモンド・オルガンと共鳴した(?)“Heaven’s Door ヘヴンズ・ドア”や、ほぼ全員で珠玉のポップ・コーラスをキメる“そばにいて黙るとき -Silent By Your Side-”といったにこやかな側面も見せつつ至って自然体で展開するこのアルバムはしかし、1音1音すべてが決定的瞬間の如く運命的に響く。ここ数年の「メンバー全員スタープレイヤー」状態が昨年の冷牟田脱退によって加速し、全員でリズム・キープした次の瞬間に全員でゴールを決めにくるような、恐るべきルール無用感。ロック&ロールの「ロール」だけを渾身の力で燃焼させることで、世のロックが尻尾を巻いて逃げ出すタフな音楽。20年やればこうなる、というものでは決してない、スカパラ・マジックの宝庫。(高橋智樹)