ミラーボールでは描けない輝き

the ARROWS『アロイ』
2009年02月18日発売
ALBUM
the ARROWS アロイ
コーネリアス寸前の徹底的に無機質なポスト・ロック“ABCD”から、リバーブかかったギターのアルペジオが暁の空を飛び交うグルーヴ・ナンバー“夜明けのRhapsody”、ブレーキ壊れたグランジ・パンク“女の謎”に至るまで、メジャー3rdアルバムとなる今作には、とにかく無駄な音が1つも鳴ってない。ミラーボールとダンスフロアの化身のように、あたかも、ひたすら陽のオーラを放射しまくっていた彼らのエネルギーが、1つ1つの音符を磨き上げて輝かせるシビアな職人気質へと姿を変えたかのように。“灯火[tou]”の手触りなど、それこそ80年代の後期YMOを彷彿とさせる響きですらある。それはプロデューサーにPolaris/ohanaのオオヤユウスケを迎えたことや、ドラマー=鵜飼孝治が復帰したこともそれらの一因ではあるが、その核心は、昨年1年間シングルも切らずにひたすらビートとグルーヴの真実を突き詰めてきたバンド全体のモードにこそあるのだろう。打ち込み&生のリズムに乗せてメンバーが出会った高校時代を無防備に回想するラストの“15 years”はしみじみ感動する。(高橋智樹)
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