傑作4thの全曲再演ライブ盤。スタジオ盤を聴いた上でトライいただくのが正道な作品とはいえ、ブラスやピアノの刺さり方、ガレージなギター・サウンドのキネティックなうなりといった生ならではの臨場感は渋く抑制された同作の世界観に新たな入り口をもたらすはずだ。遅咲きという形容の似合う彼らだが、デビューと共に旋風を巻き起こした先発NY勢――ストロークス、インターポール――がその後遺症に悩んだのに対し、息長くリーチを広げ続けている。バンドとしての体質がザ・ナショナルに近いウィルコも同じく4作目『ヤンキー〜』でブレイクしたが、『ヤンキー〜』がポスト9.11な1枚とすれば、『ボクサー』はオバマ時代のトリビュート。時代精神とリンクした作品の強さと言えるし、今こそ振り返っておく価値もある。これを機に、未聴の方はぜひ。(坂本麻里子)
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ザ・ナショナル『ボクサー(ライブ・イン・ブリュッセル)』のディスク・レビューは現在発売中の「ロッキング・オン」8月号に掲載中です。
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