今年3月に行われたMy Hair is Bad初の日本武道館ワンマンライブ2デイズがついに映像作品化。タイトル通り「2日目の27曲」と「1日目にしか演奏しなかった9曲」を全網羅、武道館に至るまでの「ギャラクシーホームランツアー」のドキュメントまで収めた、まさに今のマイヘアのこの上なくリアルな記録。今この一瞬を穴が開くほど見つめながら全力で生き急ぐような楽曲と熱演の模様もさることながら、今作が何より切実に伝えてくるのは、己を何も守ることない徒手空拳状態のままロック新次元への扉をぶち抜こうとする、彼らの「今」のスリルそのものだ。ライブハウスで体現してきた危なっかしいくらいの生々しさと無防備さと、だからこそオーディエンスと確かめ合い育み続けてきた信頼関係を抱きしめたまま、彼らは武道館の舞台に立った。「命が歌いたい！ 大げさなことじゃないよ、みんなが持ってんだから！ 燃やすよ、燃やしたいだけ。焦げるまで！ 」……“戦争を知らない大人たち”の前に叫び上げた椎木知仁（Vo・G）の言葉は、凄絶な魂の悲鳴でもあり、ロックそのものへの闘争宣言でもある。（高橋智樹）