誰かの声、そして自分の声に向き合う歌

羊文学『声』
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羊文学 声
ドラマ『119エマージェンシーコール』主題歌。塩塚モエカ(Vo・G)の柔らかく深く響く歌声がずっと耳と胸から離れない。この楽曲は消防局の通信指令センターを舞台としたドラマの、その主人公の葛藤や意志を表現する完璧な「ドラマの主題歌」として成立していながら、聴く者誰しもに自分自身に届けられた「声」に向き合うきっかけをもたらすような歌だ。たとえばかつて受け取ったはずの親や家族の愛ある声、もう遠くに旅立った友人が遺した言葉、何気ない日常で放たれる誰かの悩み事、そしてもしかしたらそれは、日々心をすり減らして生きる自分自身のSOSの「声」であるかもしれない。聞こえないふりで過ぎてきたその「声」たちが、この楽曲によって呼び醒まされるような心地がした。特に《どんなに長い夜の先にも/必ず明日を繋ぐから信じてほしい》というラストの歌詞などは、自分にはまだ誰かを(あるいは自分自身を)救える力があるはずだと信じさせてくれる強さがある。羊文学の歌はいつも静かに聴く者を包み込む。(杉浦美恵)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年4月号より)


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