万感溢れるフレンドシップの結晶

ビッグ・レッド・マシーン『ビッグ・レッド・マシーン』
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ALBUM
ビッグ・レッド・マシーン ビッグ・レッド・マシーン

ボン・イヴェールことジャスティン・ヴァーノンとザ・ナショナルのアーロン・デスナーによるコラボ・プロジェクト。始まりは、デスナー兄弟が監修したコンピレーション『ダーク・ワズ・ザ・ナイト』(08年)用に同プロジェクト名の楽曲を共作したことに遡るもので、以来、機会を重ねて交流を深めてきた両者。実際、昨年ヴァーノンが地元オークレアで開催したフェス等で披露されたセットが今作の楽曲の元になっていて、それらの際に演奏のサポートを務めた様々なミュージシャン=両者が共同設立したアーティスト集団「PEOPLE」の面々が今回の制作にも参加しているという。

純然たるゴスペル・フォークの趣だった10年前の楽曲とは大きく異なり、生演奏に交えて打ち込みのリズムやエレクトロニックな音響処理が配されたプロダクション。とりわけアルバム序盤を彩る折衷的でエディットの効いたコンポーズは、いうまでもなくヴァーノンの『22、ア・ミリオン』と地続きのものであり、あの印象的なデジタライズされたボーカルも聴くことができる。ドラム・ビートが掻き回すブロークンなエレクトロ・ブルース“エア・ストライプ”はその本領発揮といったところだが、一方、アコースティックな肌合いと力強いロック・アンサンブルで情感を盛り上げるのが終盤。賑々しい楽器の音色と華やかなハーモニー・コーラスと相まって、ヴァーノンが開放的に喉を震わせる“ピープル・ララバイ”から“メルト”に至る流れは、今作におけるもっとも美しい場面といっていい。そこではまるで、両者が築いた長年のフレンドシップと、それを取り巻くコミュニティ全体を祝福するようにドラマチックな高揚感が演出されている。これから先も彼らの作品が送り届けられることを願いたい。(天井潤之介)



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ビッグ・レッド・マシーン『ビッグ・レッド・マシーン』のディスク・レビューは現在発売中の「ロッキング・オン」10月号に掲載中です。
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ビッグ・レッド・マシーン ビッグ・レッド・マシーン - 『rockin'on』2018年10月号『rockin'on』2018年10月号
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