逆襲のバック・トゥ・ザ・ベーシック

ディスクロージャー『ホエア・ユー・カム・フロム』
発売中
SINGLE
ディスクロージャー ホエア・ユー・カム・フロム

UKの兄弟ダンス・ミュージック・ユニットであるディスクロージャーが、8月末の5日間にわたって、5曲の新曲を連続リリースした。まず“ムーンライト”は、いかにもディスクロージャーらしい滑らかなUKガラージで、月光のように降り注ぐドリーミーなシンセ・サウンドが心地よい。続く“ホエア・エンジェルズ・フィア・トゥ・トレッド”は、アナログ感たっぷりのサンプリングで甘い男声コーラスをフィーチャーした、シカゴ・ハウスを彷彿とさせるナンバーとなっていて驚かされた。そして3曲目の“ラヴ・キャン・ビー・ソー・ハード”は、こちらも生のサンプリングを巧みに織り合わせ、ファンキーなベースを効かせている。

本人ツイートによれば、アレクサンダー・オニールやルーサー・ヴァンドロスらの80sブラコンにインスパイアされているらしい。4曲目としてリリースされた“ファンキー・センセイション(feat.グウェン・マックレイ)”は、タイトルどおりグウェン・マックレイによる1981年のダンス・ヒットをリワークした内容。ディスコ・ダブ風のサウンド処理を施したところに、UK出身グループとしての意地を感じさせている。そして最後に届けられた“ホエア・ユー・カム・フロム”は、ラテン・パーカッションのループを効かせ、これぞブレイクビーツという洗練された妙技を見せつけた逸品だ。

メインストリームEDMの狂騒とは一線を画したところで、アンダーグラウンド・ダンス/DJミュージックの息遣いとマナーを現代に伝えようとしてきたディスクロージャーだったが、今回の5曲ほど、歴史に深く根ざした表現スタイルであることを強調する作品は、これまで見当たらなかった。明らかに、今日のダンス・ミュージックに対するカウンター意識が働いている。

僕はロックにしてもダンス・ミュージックにしても、古き良き作法を偏重する向きは若い世代にとって自由な表現の足枷にもなり得ると考えているのであまり好きではないのだが、この5曲のダンス・ミュージックとしての豊かなグルーヴの広がりと性能の高さには舌を巻くより他にない。ディスクロージャーの2人が目指していたものもまさにそれだろう。ある意味、端正で行儀良すぎるくらいに感じられていた彼らのイメージの殻を打ち破る、強い意志を感じさせている。

このタイミングで5曲を独立させてリリースしたのは、やはりダンス・ミュージック史の裾野の広さと彼らの探究心を、しっかりとリスナーに受け止めて欲しかったからだろう。いずれ届けられるはずの新作を前に、さらなる期待感を募らせずにはいられない、素晴らしい作品群だ。(小池宏和)



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ディスクロージャー『ホエア・ユー・カム・フロム』のディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』11月号に掲載中です。
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ディスクロージャー ホエア・ユー・カム・フロム - 『rockin'on』2018年11月号『rockin'on』2018年11月号
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