フライング・ロータスが主宰する〈ブレインフィーダー〉の設立10周年を記念しての編集盤。2枚組全36曲中、22曲が初登場の音源という大盤振る舞いだ。
ディスク1は過去の代表曲を中心に、ディスク2は未発表曲や新曲などを中心に構成。やはり聴き物は後者で、バッドバッドノットグッドをゲストに迎えたサンダーキャットの新曲(フライローのプロデュース)、フライローとサンダーキャット、シャバズ・パラセズによるウォーク(ジョージ・クリントンをフィーチャー)、今後リリースが予定されているであろう若手まで、注目の音源が目白押しだ。
J・ディラやマッドリブの流れを汲むLAのアブストラクト・ヒップホップのサークルから登場したのがフライローだった。ブレインフィーダーの初期はそんな彼の周辺にいたデイデラス、ティーブスらのヒップホップ〜IDM/エレクトロニカが中心だったが、フライローの2010年作『コスモグランマ』以降ジャズやヒップホップを巡る状況が大きく変わり、ブレインフィーダーからもオースティン・ペラルタ、サンダーキャット、テイラー・マクファーリン、カマシ・ワシントンといった新しいタイプの音楽家が続々と登場し、一躍世界的に注目を集める先鋭レーベルとなった。本作にその過程ははっきりと記されている。
ジャズ、ヒップホップ、ソウル〜ファンク、エレクトロニカ、アンビエント、ディープ・ハウスを自在に横断し、ルイス・コール、ロス・フロム・フレンズ、ドリアン・コンセプト、ジョージア・アン・マルドロウといった新鋭が次々とデビューしているここ最近のブレインフィーダー。何が出てくるかわからないスリルは、フライローの嗜好を反映しているのだろう。今後も目が離せそうにない。 (小野島大)
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V.A.『ブレインフィーダー X』のディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』12月号に掲載中です。
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