ライブ後、外に出たとたんに耳や目から脳がダダ漏れしていくような高揚感が、何とも心地良い。

圧倒的なスケール感で衝撃を与えた『Flamagra』を引っ提げてのフライング・ロータス＝フライローのソロ公演は、昨年のソニックマニアで披露された3Dライブを一夜限りで行うというのだから、即完は当然。しかも『Time』で注目され、来日公演も好評だったルイス・コールまでゲスト出演と、始まる前から会場内外の盛り上がりは沸点を越えていた。


爆発寸前の空気を落ち着かせるように、まずはオンタイムでルイス・コールが登場して“F it Up”のMVさながらのキーボードを駆使して細かくカラフルなサウンドをくり広げ、スマートかつ丹念に積み上げたグルーヴがフライローを待つオーディエンスと巧みにバイブレートしていく。ハイトーンを駆使したボーカルとキーボードから生ドラムスまでプレイしながら、柔軟でいて硬質なエレクトロ・サウンドによる空間は、とてもオーガニックな一体感が作られ、最良のゲスト・プレイヤーであったのがよくわかる。


そんなルイス・コールが作り上げたクールな熱気の中、20時ちょい前にフライローのセットが幕を開け“Fire Is Coming”などで一気にテンションを上げていくが、DJブースが中央に置かれたステージの後ろからは、凄まじい勢いで3D画像が吐き出され、爆発的なライティング、衝撃波と言いたくなる重低音とミックスされていく。


一つ一つの刺激が極めて強く、脳波にダイレクトに染み込んでいくドラッギーな展開は快感度が高いのだが、最初はわりと控え目な3D効果（?）で構成され、徐々にドープで強いものへと持っていくあたりはフライローが3Dにこだわる一因を体感できた気がする。刺激的な音と映像のミックス、さらに3Dだからこそ拡大し得るイマジネーションの可能性を、さまざまなクリエイターたちと模索する様子が伝わってくるかのようだ。


洪水状態の情報量に満ちた約30分ほどのプレイ後、サプライズでなんとサンダーキャットが登場し、あのテクニカルで表情豊かなベース・プレイが絡みスリリングなセッションがくり広げられ、パーティ感を高める。それもたっぷり30分にわたってのプレイなのだからたまらない。

フライローもずいぶん気分が良かったのかMCで喜びを表したり、アンコールでは再びサンダーキャットも登場して絡むなど、さながら「ブレインフィーダー・フェス」状態となり、忘れがたい特別な夜となった。（大鷹俊一）