黒人音楽経由でJ-POP王道を進む

Nulbarich『Blank Envelope』
2019年02月06日発売
ALBUM
Nulbarich Blank Envelope
現行のブラックミュージックが日本のポップスに多大な影響を及ぼしている昨今。とはいえ、こうした流れは何もここ数年で始まったことではなく、それこそ90年代の渋谷系、あるいは00年代以降に宇多田ヒカル安室奈美恵といったトップアーティストも体現していたように、J-POPは北米のR&B/ヒップホップに何度となくインスパイアされてきた。そして今、その系譜に連なろうとしているのがNulbarichだ。そう、間違いなく彼らはこの時代の王道を歩んでいる。

サードアルバムとなる本作においても、このバンドの音楽的指針に揺らぎはない。簡潔にいうと、それは「トラップ以降のリッチなビート・プロダクションと、ネオソウル/アシッドジャズ的なバンドサウンドの融合」。プログラミングと生演奏がシームレスに溶け合った音像は、とにかく現代的でスタイリッシュ。そしてそれが、JQが紡ぎだすメロディと歌詞のスウィートネスを最大限に際立たせている。ごく自然に欧米のトレンドを血肉化しながら、日本語ポップスとしての訴求力をグッと高めた、まさに鉄壁の一枚だ。(渡辺裕也)
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