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オフセット『ファーザー・オブ・フォー』
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ALBUM
オフセット ファーザー・オブ・フォー

ミーゴスのオフセットの初ソロ・アルバム。タイトルはオフセットが4人の子供の父親である、という意味で、ジャケに写っているのがその4人の子。オフセットが抱いているのがカーディ・Bとの子、カルチャーである。主要プロデュースはサウスサイドとキュービーツ、それからメトロ・ブーミン。ほかにダフボーイやドレー・ムーンといったミーゴス周辺のプロデューサーが手がけている。ゲストはカーディ・Bを始め、J.コールやトラヴィス・スコット、クエイヴォ、グッチ・メイン、ガンナ、21サヴェージと豪華。

サウンド面ではプロデューサー陣の顔ぶれからも、ミーゴス色が強い。そうなってしまったというよりも、そういう線を最初から狙っていたのではないか。違う言い方をすればリスナーの期待を裏切らない手堅い内容で、多彩なビートメイクや肉厚で押し出しの強いロー、そしてオフセットの魅力的な声と巧みなフロウのバランスは素晴らしく、つい何度もリピートしてしまう。

しかし本作の主眼は4人の腹違いの子供の父親としてのオフセットの素顔が浮き彫りにされたリリックだろう。タイトル曲は4人の子供に順に語りかける内容で、寂しい思いをさせたことを詫び、《子供たちのために頑張るよ。金は子供たちのためで自分のためじゃない》、《世界から君を守るよ》と、訥々と語られ、子供のいる人なら思わずほろりとさせられるような内容だ。ほかに父親の愛情を受けられなかった自分の身の上を語る曲もあるようで、オフセットの切々とした心情が伝わってくる。もちろんカーディ・Bと卑猥なやりとりを交わす曲もあるが、全体に落ち着いたトラックとも相まって、しんみり聴ける内容になっている。詳細な歌詞対訳が欲しいが、残念ながら日本盤の発売予定はなし。 (小野島大)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』5月号に掲載中です。
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オフセット ファーザー・オブ・フォー - 『rockin'on』2019年5月号『rockin'on』2019年5月号
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