auのCMで流れているデビュー曲“Morning Sun”、清涼感溢れるオーガニックなアコースティック・サウンドをおそらく多くの人が耳にしたことがあるはずだが、日本人離れした流暢な英語とやたらと高質なサウンドが心地よすぎて、風のように通り過ぎているかもしれない。トム・キーンをプロデュースに迎え、海外のミュージシャンとともに作られたサウンドは、ポップミュージックとしてあまりにも「完璧」だ。それを若干19歳の青年が紡ぎだしているのだから本当にびっくりする。たとえば清流にそっと足を浸したときの、感覚がきゅっと研ぎ澄まされるような絶妙なサウンド。しかもペットボトルに閉じ込められた水とは違って、その中に光や風や生き物すら感じさせる生きたポップスなのだ。アルバムを聴くとそれがよくわかる。歌詞には、世界の不条理や自身への迷いなど10代らしい逡巡も描かれるが、それがサウンドにのると普遍的な真実のように響く。M3の、虫になっても、雲になっても、花に変えられてもあなたに歌う、という歌詞がいい。生まれながらにしてポップな気質を持った人だと思う。(井上貴子)