母なる大地のアフロビート

ビヨンセ『ライオン・キング:ザ・ギフト』
発売中
ALBUM
ビヨンセ ライオン・キング:ザ・ギフト

今年の4月には『コーチェラ2018』でのライブを完全収録した映画『ホームカミング』(大傑作!)を Netflixで公開し、またまた大きな感動を届けてくれたビヨンセ。そんな彼女の最新作である本作は、自らが声優も務めたディズニー映画『ライオン・キング』のいわゆる通常のサントラ盤⋮⋮ではなくって(そっちはそっちで別に発売されている)、未来の王=シンバの壮大な物語に触発されたビヨンセが「キュレーター役」を務める形で企画した「コンパニオン 姉妹編)・アルバム」だ。

ケンドリック・ラマーやファレルや(旦那の)ジェイ・Zといった豪華ゲスト陣もさることながら、本作のいちばんの注目点は、ナイジェリアや南アフリカ、ガーナやカメルーンなど、現代のアフリカを代表するトップ・アーティストたちも多数招かれていること……となると当然、全編で最新のアフロビートをたっぷり堪能できるわけで、まさに「身も心も、ビートもアフリカ!」な1枚なのである。

各曲の歌詞世界は、映画の物語を大筋でなぞりつつ、自由な解釈に踏み込んでいるケースも多く、そういった歌では彼女のパーソナルな思いも明かされていく。例えば“ファインド・ユア・ウェイ・バック”では、ビヨンセと実の父親とのフクザツな親子関係が回想され、モハメド・アリの伝説のチャント「ボマイェ!」が引用された“マイ・パワー”では、アフリカ系アメリカ人の誇りが高らかに讃えられる。そして7歳の愛娘ブルー・アイヴィーと共演した“ブラウン・スキン・ガール”は、ビヨンセが世界中の「茶色い肌の少女たち」に捧げた応援ソングだ――映画『ライオン・キング』は「父と息子」の物語である。でも、 ビヨンセのアルバムでは、物語のヒーローは「母と娘」たちなんだ。 (内瀬戸久司)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』10月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

ビヨンセ ライオン・キング:ザ・ギフト - 『rockin'on』2019年10月号『rockin'on』2019年10月号
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