爪を隠さぬ能ある鷹よ

ステレオフォニックス『カインド』
発売中
ALBUM
ステレオフォニックス カインド

1997年のデビュー作からほぼ2年おきにアルバムのリリースを続けている彼ら。今回も2017年の『スクリーム・アバヴ・ザ・サウンズ』からきっちり2年で本作を仕上げてきた。過去のバンドの歩みを振り返りつつそれをアップデートしたような総決算的傑作であった前作からあっさりと次作を上梓してみせる様から考えるに、彼らにとってこのリリース・ペースがひとつのルーティンとして良い効果をもたらしているのは間違いないだろう。ただし今回は、そのルーティンに縛られた結果としてマンネリズムのドツボに入り込んでしまわないよう、新しい試みが採用されている。それは、11日間という短期間で、オーバーダブを廃し、最低限の機材を用いて生のバンド演奏を封じ込めるという手法。その結果、バンドが手にした収穫は大きくふたつ。ひとつは、装飾の無い剥き身の音像によって一層その美しさが強調された他ならぬバンド・グルーヴの妙。そしてもうひとつは、元来の無敵の声質に加え、非の打ちどころのないタイム感とブレスがくっきり浮かび上がったケリーのボーカルである。つまり、意図的に今のステレオフォニックスの地力を明示し、それにより圧勝を収めたのが本作なのだ。自らの内から自然と湧き上がってきたものをまとめたという楽曲群もポップかつ一切の余分が無く、本年2月にシングル・リリースされた力の入りまくった名曲“カオス・フロム・ザ・トップ・ダウン”がアルバムのスタイルに合わないとして収録を見送られたのも頷ける。白眉は、自然体でありながら壮大で、強烈にエモーショナルな“ディス・ライフ・エイント・イージー~”。「もし2019年にオアシスが健在ならばこんなアンセムを書いていたのかも」と思わせるスケール感で、涙腺を容赦なく打ち付けてくる。 (長瀬昇)



詳細はWarner Music Japanの公式サイトよりご確認ください。

ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』12月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

ステレオフォニックス カインド - 『rockin'on』2019年12月号『rockin'on』2019年12月号
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