敬意から生まれる新たな輝き
V.A.『井上陽水トリビュート』
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ALBUM
音楽活動50周年を迎えた井上陽水の代表曲の数々を、幅広い世代のミュージシャンがカバー。細野晴臣、ウルフルズ、斉藤和義、田島貴男(ORIGINAL LOVE)、槇原敬之、福山雅治、宇多田ヒカル、椎名林檎など、錚々たる布陣が、独自色も発揮しながら表現している様が刺激的だ。“ダンスはうまく踊れない”をサルサにアレンジするという大胆さが光っているオルケスタ・デ・ラ・ルス、“傘がない”を神々しい残響音と狂おしく高鳴るバンドサウンドで輝かせたACIDMAN、“飾りじゃないのよ 涙は”をグルーヴィーでスタイリッシュに再構築しているKing Gnuなど、聴きどころは尽きない。KREVAがカバーしたのが“最後のニュース”だという情報を知って以来、楽しみにしていたのだが、これはとんでもなくいい。ポエトリーリーディング的な歌唱法による原曲を、ラッパーとして見事に表現している。揺らめくシンセサイザーの音像のなかを泳ぎ、モダンなビートを乗りこなしながら言葉を放射する様が美しい。リリースされてからちょうど30年経った現在でもリアルな歌詞に、一層の鮮度を与えているカバーだ。(田中大)