そのまんま『新作』というタイトル。“恋人たち”“ニューピース”という２曲のタイアップ・シングルがあって、でもそれらの名曲ぶりには寄り掛からない、キラキラとポップに輝いてるフレッシュな曲群が隅から隅まで収められている。なので彼らの最高の『新作』としか名付けようがない。しっかりホフディランしていて、しかも「らしさ」を重荷とせず、軽やかに解き放っている。豪華絢爛なディナーというよりは、サクっと栄養を摂取して出掛けるためのシリアル食みたいだ。

作曲の内訳は、ベイビー４曲にユウヒが８曲。シングル２曲もユウヒ作なので、全体的に整合性が取れたポップさといい、ユウヒの技量が存分に発揮されたアルバムと言える。スカとカントリーとラモーンズが一緒くたになった“ロウパワー”あたりの職人的技巧には、やはり唸らされる。そして、弾数よりも一発の爆発力でインパクトを残すのがベイビー。≪ハチャメチャな恋をしたい／空気なんか読んでるヒマはない！≫（“恋はハチャメチャ”）と歌うエネルギーが凄まじい。彼の年齢だからこそ歌うべきテーマだし、何よりもベイビーらしい。（小池宏和）