点と点

Vaundy『strobo』
2020年05月27日発売
ALBUM
Vaundy strobo
あの“東京フラッシュ”のMVがバズった時から「こいつすげえな」と思っているのだが、じゃあVaundyのどこがすごいのかと訊かれると、答えに困る感じが非常にある。歌が上手い、それはもちろんそう。メロディもアレンジも気持ちいい、それもそう。なんだけど、どうもそういうことじゃない気がするというか、掴もうとするとするりと指の間をすり抜けていくような感じがある。で、このファーストアルバム。聴いてわかったのは、まさにその「指の間をすり抜けていく」掴みどころのなさこそが彼の才能なのだということだ。EDM的なアコギのループが高揚感を煽る“灯火”、ギターロック然とした“怪獣の花唄”、チルなR&B“napori”、穏やかなカントリー調の“Bye by me”……コンテクストがあるようでない。思えばずっとそうだった。点と点を線でつなぐことなく、ひたすら点だけを打ち続ける。それがVaundyの時代性でありセンスなのだと思う。そういう意味でも“僕は今日も”の《もしも僕らがいなくなって/いても そこに僕の歌があれば/それでいいさ》というのはきっと本音なのだ。(小川智宏)

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