積み重ねた時間を誇りに

G-FREAK FACTORY『VINTAGE』
発売中
ALBUM
前作『FREAKY』から実に約3年4ヶ月、G-FREAK FACTORYはさまざまな難関に直面してきた。メンバーの脱退、原田季征(G)が腰椎ヘルニアによりライブ活動を一時休止し、さらにはリリース自体もコロナの影響で延期。それでも、彼らがその一つひとつを乗り越えて歩み続けていることが、今作からはしっかりと伝わってくる。柔らかなアコースティックの音色に言葉を乗せた“ヴィンテージ”をタイトル曲に掲げ、ベースのスラップが新鮮な“乞え〜KOE〜”では《フラ フラ フラっと flatに/live alive》と軽快に歌い、最後を締めくくるのはバラード“呉々も日の暮れと”の《乾いた ため息の歌/ポツポツと ポツポツと》という印象的な歌詞。長く続けていると、ただ熱く攻撃的であればいいわけではないし、負った傷も悔しさも消せやしないだろう。でも、年月を重ねたバンドだけが響かせられる音と情熱がある。近年のライブで育った多彩なシングル収録曲やセルフカバー曲も含め、今の彼らにしか出せない強さと深い愛情、いっそう切実なローカリズム溢れる郷愁も、すべてが詰まった一枚だ。(後藤寛子)