TOMOMI（B・Vo）が作詞作曲とメインボーカルを務める配信シングル曲。今年2月にリリースされたフルアルバム『Kiss from the darkness』時に制作された同曲が「自粛生活のなかで新しい意味合いで聴いてもらえるのではないか」と急遽宅録音源のままリリースされた。

歌詞に綴られているのは東京での何気ない日常。家での素朴な過ごし方、《出来たばっかのコインランドリーfromベルリン》や《こっちに来て1つめの恋》などの踏み込んだ具体的な描写、《交差点のビジョンで／今年のヘッドライナーを知ったり》という都会の音楽好き社会人あるあるなど、生活感をショートムービーのように切り取る。ミドルテンポでループする演奏や甘いボーカルもリラックスムードで、ひとりで家にいながら気の置けない友人や大切な人へとぼんやり思いを馳せている時の心模様のよう。一抹の寂しさを含んだ平熱の空気感が心地好い。電話での「また」や「今度」という言葉やちょっとした約束などがコラージュされるラストの台詞セクションに、いつまでもこんなふうに未来を信じて生きていきたいと強く願った。（沖さやこ）

『ROCKIN'ON JAPAN』2020年8月号より