決して今までどおりにはなり得ない2020年の夏を、晴れやかな気持ちで駆け抜けたくなる、そんなデジタルシングルが届けられた。
Yogee New Wavesと夏の相性がバッチリなのは今さら疑うべくもないことだが、この“White Lily Light”という曲は、これまでのように音楽で描いた夢現のような景色の中へとリスナーを誘うのではなく、今のリアルな視界と音楽のギアががっちりと噛み合ったような響き方をもたらしているのだ。西海岸サーフィンサウンド風のハーモニーによる甘美な歌い出しは夢見心地だけれど、ビートや刺激的なギターフレーズが転がり出すや否や、目の前の景色は鮮明に輝いて見え始める。ドキッとするぐらいに、新鮮なヨギーの手応えである。いがみあったり、どうでもいいことを話したりしながら、瞬間瞬間を抱きしめて走る夏のラブソング。それを支えているものが、ロックバンドとしてのサウンド構築を微細なところまで見直し、突き詰め、確信をもって演奏/レコーディングした彼らの姿勢にあることは間違いないだろう。ロックバンドの音ってすごいな、と再認識させられる一曲だ。(小池宏和)
『ROCKIN'ON JAPAN』2020年9月号より