傑作アニメ『映像研には手を出すな！』のオープニング曲“Easy Breezy”を冒頭に、ボーダーレスでジャンルレスなトラックが顔をそろえたサードアルバム。挑戦的ではあるが、背伸びをしたというよりは、ガンガン好きなように遊んでいる感じ。エレクトロニック／テクノアーティストのAkiko Kiyamaを招いた“いるよ”はchelmico史上随一のストレンジさだし、長谷川白紙による“ごはんだよ”はおもちゃ箱とおばけ屋敷とジェットコースターを行ったり来たりしているような賑やかなカオス。

トラックだけでなく、chelmicoのふたりもこれまで以上にラップ／歌のレンジを広げ、“Premium・夏mansion”はテンポのいいラップからムーディーな歌が展開され、“Disco〜”ではソウルフルな美声を披露。“milk”はアコースティック調の歌ものだ。

童心に帰ったように多彩な音と戯れ、おもしろさと楽しさとキレが増し増しの革新的ポップが花開きつつ、“GREEN”の《なんかあったら話しなって》《2人で歌った曲を　日々好きになるよ》というリリックにほろり。（小松香里）

『ROCKIN'ON JAPAN』2020年10月号より