現代の「ロック」を更新する最高傑作の誕生! UNISON SQUARE GARDEN『Patrick Vegee』レビュー

UNISON SQUARE GARDEN『Patrick Vegee』
発売中
ALBUM
UNISON SQUARE GARDEN Patrick Vegee
前作『MODE MOOD MODE』はUNISON SQUARE GARDEN史上最大級の振れ幅で、思い切りポップにバンドサウンドを表現した作品だった。その振り切れたポップネスから自然に逆サイドに針が振れるように、最新作『Patrick Vegee』は現代の新たなるロックサウンドの追求とでも言うべきスリルを湛えたアルバムとなった。現代的なロックバンドのあり方――今やそのスタンダードはバンド内での生音の演奏のみではなく、シンセや打ち込み、ストリングスなど、様々な外的要素を貪欲に取り入れることで楽曲の幅や表現の多様性を見せるという方向性にあり、その自由度こそがロックの可能性や面白さを広げてきたことは間違いない。しかし、今作であえてユニゾンが選んだのは、同期を使わず、どこまで緻密にバンドサウンドを練り上げられるかという方向性であり、ギターサウンドも、ドラムのビートも、楽曲ごとに様々な表情を見せながら、ロックバンドとしての最新のモードを表現する作品となった。ユニゾンは、今この時代において「ロック」というものの解釈を再更新する、そんな困難をこともなげにやってのけるバンドであり、その強さを見せつけられるようなアルバムとなった。エッジの効いたスリリングなロックサウンドが鳴り続く中にも、ポップなメロディで柔らかく響く歌声が共存する。いや、共存というよりは、絶妙なコントラストによって、さらに強烈に「ロック」を感じさせる構成になっているのが興味深い。まずは1曲目、不穏でフリーキーなバンドサウンドで奏でる“Hatch I need”からポップな歌メロが前面に打ち出された“マーメイドスキャンダラス”へと続く流れでそれを体感できるだろう。そして何より、削ぎ落としとメリハリの美学が効いた最も攻めた楽曲“摂食ビジランテ”からパワーポップ的に陽のギターサウンドを響かせる“夏影テールライト”へと続くコントラストが見事で、このアルバムのハイライトと言ってもいい。そして、このアルバムのテーマからすれば、言わば例外曲となる“春が来てぼくら”(2018年3月にリリースされたシングル曲。テレビアニメ『3月のライオン』のオープニングテーマでもあった)のポップさでさえも、その「浮き」ようが見事にアクセントとして効いてくるから面白い。

UNISON SQUARE GARDENの真髄を見せつけたこのロックアルバムは、メインストリームの「ロック」の潮流を変えていくものになるような気がしている。(杉浦美恵)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2020年11月号より)

【JAPAN最新号】UNISON SQUARE GARDEN、絶妙の立ち位置だからこそ生まれた超絶のロックアルバム『Patrick Vegee』を田淵智也が語る!
特にギラギラしてない、上を目指さない、そんなユニゾンとして「うわあ、好き勝手やったな」っていうものを作ろうとした 現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』11月号表紙巻頭にUNISON SQUARE GARDENが登場! 絶妙の立ち位置だからこそ生まれた超絶のロックアルバ…
【JAPAN最新号】UNISON SQUARE GARDEN、絶妙の立ち位置だからこそ生まれた超絶のロックアルバム『Patrick Vegee』を田淵智也が語る!

公式SNSアカウントをフォローする

最新ブログ

フォローする